写真集をつくる。
産休に入ったら、一番、いちばんしたいと思っていたこと。
「愛犬ミッキーの写真集」をつくること。でした。
14年前、1995年1月17日。
私が住む町、神戸で阪神大震災が起こりました。
隣の家は火事となり、わが家も足の踏み場もない状態。
1ヶ月ほど続いた体育館生活、水もガスも出ない暮らしの中、小学生だった弟だけが、
少し離れたおじいちゃんのおうちに住まわせてもらうことになり別の学校へ通うことに。
弟は「転校してまだ友達ができないので、犬を飼いたい!」と言い出しました。
(後で分かったことですが、犬を飼いたいための嘘でした。笑)
そうして、2月にやってきたメスの豆芝。「ミッキー」。
嵐の日、雨宿りにきた子猫に、自分の寝床を貸してあげるような優しいミッキー。
階段を急いで駆け上るのに、自分では下りられない、臆病もの。
ミッキーと楽しい時間を、たくさん過ごしました。
ミッキーは去年の夏、一度倒れてからは、ほとんど寝たきりのような暮らしでした。
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そんなミッキーが、2009年1月17日。
14年前、地震があったその日に、突然姿を消しました。
もう、目も見えなくて歩けなくて、かわいそうだからと首輪をはずしていたということ。
そんなに遠くへ行くはずはないのに、どこを探しても見つかりませんでした。
犬は、“安産の神様”と言われています。その証拠に、
妊娠5ヶ月目の「戌(イヌ)の日」には、安産祈願をこめて妊婦さんは腹帯を巻きます。
今年の1月に、「赤ちゃんができたよ!」と家族やミッキーに報告したとき、
もしかしたら、ミッキーは、「もう自分の役目は終わったから。」と。
お父さん、お母さんには、「もう孫が2人もできるんだから寂しくないよね。」と
すべてを悟って、どこか遠くへ行ったのかもしれません。
私は、ミッキーのためにも、元気な双子を産まなければ、と思っています。
この写真集は、ミッキーを飼いたいと言ってくれた弟・あっくんへ。
父と母へ。それから、毎日ごはんをあげてくれていたおじいちゃんとおばあちゃんへ。
それぞれ贈ることにしました。
写真集は、ミッキーになりきって、コメントを書きました。最後のページは・・・
「いつも小屋から見上げた空。みんな、ありがとう。楽しい14年間やったよ!」